まいど。ファンクラ編集部お酒と格闘技担当のブロンソンです♪
今回もボクシングの話題から。以前「パーフェクトレコード」のままリングを去った唯一のボクサー「エドウィン・バレロ」をご紹介しましたが、現役でパーフェクトレコードを継続しているボクサーももちろんいます。
世界王者では17戦17勝 (17KO) 無敗のWBA世界ウェルター級王者バージル・オルティス.Jr(米)と、同じく17戦 17勝 (17KO) 無敗のWBC・IBF世界ライトヘビー級統一王者アルツール・ベテルビエフ(露)が存在します。
という訳で、今回はアルツール・ベテルビエフをご紹介していきたい!
チェチェンのアイアン・ナックル
アルツール・ベテルビエフは1985年、チェチェンの隣国タグステン共和国に生まれました。敬虔なムスリム教徒であり、1994年から2度に渡るチェチェン紛争の中、多くの迫害を受けながら幼少期を過ごす。
9歳の時に身の安全を守ために兄に勧められてボクシングを始めると、その才能を発揮。貧しい家庭ながらも両親に支えられ、2001年ロシアの大会で初優勝を果たします。
王座獲得までの苦難の道のり
ベテルビエフ選手の凄さはトップアマらしからぬファイトスタイル。ガード無視で間合いを詰めて襲いかかり猛打のラッシュで相手を仕留めます。アマチュアでもKOの山を築きます。
しかしロシアによる指導者の暗殺により、チェチェンの独立運動はさらに過激化。ロシア国内でのチェチェン人への感情も悪化していく中、信念だけを頼りにヨーロッパ選手権2度優勝、世界選手権優勝を果たします。(北京、ロンドンの2度のオリンピックに出場も、不運な判定もありメダル獲得はしていない)
2013年にプロに転向すると、持ち前の強打で注目を集めるも、2013年、ボストンマラソンでチェチェン系の移民が起こした自爆テロにより、国際的にもチェチェンの印象が悪化。そんな背景を理由に強打のベテルビエフは対戦を避けられ続けます。しかしながら12戦目の2017年にエンリコ・コーリング(独)IBF王座決定戦に12RKO勝利し、世界王者を獲得します。
トップランクとの契約
所属プロモーションとの契約でも訴訟関係にあったベテルビエフの元に、大手プロモーションのトップランク社が救いの手を差し伸べると運命が変わります。
なんと契約2戦目にはWBC王者オレクサンドル・グウォジク(ウクライナ)との統一戦が実現。グウォジクはロンドン五輪の銅メダリストで技巧的な強打者でもあり、序盤は劣勢に立たされるものの、消耗戦に持ち込み10Rに一気の3度のダウンを奪い、逆転KO勝利。見事に統一王者になりました。
気になる記録の行方と今後の展望
昨年2021年の12月にはWBC1位&IBF6位マーカス・ブラウン(米)を相手に防衛戦を行い、9回TKO勝利。プロデビューから17戦連続KOをマークしています。
骨太でガッチリした肉体なので、クルーザー級転向の話もありましたが、答えは「私はナチュラルなライトヘビー級。このクラスで4団体統一を果たすのがただ一つの望みだ」。
そうなると気になるのは他団体の王者との統一戦ですが、さらなるビッグマッチ4階級制覇王者カネロ・アルバレスとの対決はファンなら渇望するところ。カネロは2021年末に獲得したばかりのWBOライトヘビー級王座を返上し、スーパーミドルを主戦場に移しているので、実現の見通しはまだまだ先になりそう。
次の試合は16戦無敗のIBF1位メン・ファンロン(中国)が予想されています。現在37歳と脂が乗ったベテルビエフ選手のKO劇場はいつまで続くのか?期待して見守りたいと思います。では!