まいど。ファンクラ編集部お酒と格闘技担当のブロンソンです♪
2021年ももうすぐ終わりですね。
年末のミドル級WBAスーパー王者村田諒太vsIBF同級王者ゴロフキン(カザフスタン)、WBOスーパーフライ級王者井岡一翔vsIBF同級王者アンカハス(フィリピン)の統一戦もオミクロン株の影響で中止となり、12/14の井上尚弥選手の試合が2021年の日本人ボクシング世界戦ラストマッチとなっちゃいました。(※その後、井岡選手は12/31に福永亮次(角海老宝石)を相手に3度目の防衛戦を行うと発表)
少し寂しいですが、12/14の井上選手の試合のリポートと、今後のバンタム級の展開を記事にしたいと思います。
日本初のPPV配信
今回の井上選手の世界戦は地上波での生中継をせず、PPV(ペイパービュー)での配信という事も注目されました。
アメリカのボクシングやUFCなどのビッグマッチでは30年以上も前からPPVが当たり前でした。(日本ではそんなビッグマッチの数々をwowowの契約料だけで見れちゃうのが非常にありがたかった…)アメリカ初のPPVはなんと1975年のモハメド・アリ対ジョー・フレージャーだそう!すげぇなアメリカは…
地上波よりもケーブルテレビが普及しているアメリカの事情もありますが、有料放送によって潤沢な資金を獲得し、選手やスポーツ界に分配する事で、より注目されるコンテンツを生み出すためでもあります。
賛否両論ある様ですが、日本ボクシングのビジネスモデルを変えたいという大橋会長の思いと、それを実現するだけのコンテンツ力を井上選手が持っているとの判断により実現したのでしょう。
筆者もAbemaTVに3,960円を支払い視聴しました。高いと思うか、安いと思うかはその人次第ですね。
12/29に予定されていた村田諒太選手とゴロフキン選手との試合もAmazon Primeでの配信予定でしたし、こういった流れは今後必然になるのではないでしょうか?
戦前予想
対戦相手のアラン・ディパエン(タイ)はIBF6位でも、世界的には無名と言っても良い選手。
井上選手にとっては勝って当たり前、圧倒的な勝ち方が期待されていると言っても良いマッチメイクです。大手ブックメーカーもディパエン勝利に12倍のオッズを設定。
タイ人ボクサーの特徴としてはムエタイ上がりで打たれ強かったり、我慢強い選手が多いのですが、調べた所、ディパエン選手もムエタイ上がり。
ムエタイで60戦50勝10敗。2019年2月にプロボクシングデビューして14戦12勝(11KO)2敗と、無名であっても不気味な存在とも言えます。
打たれ強い強いタイ人相手にどんな勝ち方を見せるかに注目です。
試合リポート
肝心の試合内容は1Rこそお互いに出方を見るラウンドでしたが、2R以降は終始井上選手のペースで進みます。
4Rには左のトリプルアッパーなど多彩なコンビネーションを見せますが、ディパエンもここから脅威のタフネスぶりを発揮します。鼻血を出しながらも時に笑みを浮かべ、井上選手のパンチに耐え続けます。実力差は歴然ながらも強い右のパンチを返したりと、ムエタイ上がりの打たれ強さ、根性で試合を盛り上げます。
しかし8回、井上選手の左のパンチがテンプルを捕らえるとロープ側まで吹っ飛び、ついにダウン。立ち上がったディパエンに左フックが炸裂したところで、レフェリーがストップ。
個人的にはディパエン選手の頑張りがこの試合を盛り上げたと思います。8Rまで仕留めきれなかったものの、井上選手の多彩なコンビネーション、強み、圧力も堪能出来ましたし、むしろ井上選手でなければ仕留めきれなかったのでは?それぐらいディパエン選手は頑張ったと思います。試合後のインタビューではディパエン選手も「ずっと我慢していた」、倒れなかったのは「タイ人のため」と発言してました。実は相当我慢してたんでしょうねw
2021年12月激動のバンタム級戦線
井上選手の防衛戦が行われる二日前、12/11(日本時間12日)にはバンタム級のライバルである、WBC正規王者ノニト・ドネア(フィリピン)とWBC暫定王者レイマート・ガバリョ(フィリピン)の防衛戦がアメリカで行われ、WBO王者ジョンリエル・カシメロ(フィリピン)とWBO1位ポール・バトラー(英国)の試合もドバイで予定されていました。
WBC王者ドネアは同郷で15歳若いガバリョを相手に、4Rに鮮烈なボディショットを決めて快勝。
筆者もwowowで観戦してましたが、スピードとパワーで勝る若者を相手に、最小限の出入りと上下の打ち分けで対応し、まさに達人技の様な左ボディを見せてのKO勝利でした。前回の井上戦より確実に強くなってる印象ですね。
この試合を受け、井上選手もTwitterで「期待が膨らむドネア2 まずは明後日の試合に集中 ドネア2は必ず実現させる」と発言していましたね。
そして、もう一方WBO王者カシメロは…体調不良を理由に前日の計量に現れず、予定されていた試合が中止に。
減量失敗による体調不良との噂もあり、WBOは王座剥奪も視野に事実関係を調査しています。剥奪となれば井上選手の統一戦線にも影響がありますが、こちらへは井上選手は「コメントする必要はない」と冷静な発言。
“ドラマ・イン・サイタマ”の再現なるか?
022年はバンタム級4団体統一へ大きな動きを見せる一年になるかと思いますが、WBOが空位になった場合は井上選手、ドネア選手どちらかがWBO王座を獲得してから4団体統一戦となる可能性も。
親日家でもあるドネア選手は、井上選手とのリマッチは一番盛り上がる日本での対戦が良いのではとも発言しています。実現すれば2019年11月埼玉アリーナで行われ、「ドラマ・イン・サイタマ」の名で海外でも語られる名勝負、WBSSでの二人の決勝戦の様に盛り上がる事必至です。PPVの値段も気になるところ…
2022年井上選手のアメリカンドリームへの道は加速する
ボクシングで人気が出る条件として(特にアメリカでは)、ライバルの存在が必須です。実は一人だけ強すぎてもダメな場合が多いんです。
アジアの英雄マニー・パッキャオも3階級制覇王者マルコ・アントニオ・バレラ、4階級制覇のエリック・モラレス、同じく4階級制覇のファン・マヌエル・マルケスといったメキシカンのライバル達がいましたし、黄金のミドル級と言われた1980年代にはトーマス・ハーンズ、マービン・ハグラー、シュガー・レイ・レナード、ロベルト・デュランが凌ぎを削ってボクシングファンを熱狂させました。
強すぎてライバルと言える存在のいなかった井上選手に初めて出来たライバルがドネアと言っても良いと思います。現在39歳のドネアですが、以前よりめちゃんこ強くなっていますし。ドネアの存在が井上選手をさらに強く進化させて、パッキャオの様なアメリカでスーパースターの位置に押し上げてくれる未来が見えた気がする2021年の師走でした。
来年もバンタム級戦戦非常に楽しみです。では!